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奈央理ぃのEnjoy my life!!  

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『Lost in Translation』について再考察

 映画『ロスト・イン・トランスレーション』については、哲0701さんが書いている見解もあるが、ワタシのもう一つのHP『TEDDY GIRLS』の徒然なる日記5月4日の日記でも書いているので、読んでみてください。

 それでもこの映画についてワタシなりの見解を付け加えれば、キーポイントはロケ地がパークハイヤットホテルがある西新宿にあると思う。パークハイヤットホテルはハイソで高級感があるが、アクセスにおいて新宿駅から20分ぐらいかかる不便なところにある。ホテルの周辺には新宿中央公園はあるが、もともと東京ガスのガスタンクがあった場所なので、活気的な雰囲気はなく、むしろ殺風景である。これが帝国ホテルや赤坂プリンスホテルだったら、また映画は違っていたと思うし、この映画にはなりえなかったと思う。

 ボブとシャーロットは日本、東京のこの場所でしか味わえなかった孤独感における共感を持って、惹かれ合った。映画を見進めているうちに、二人の距離が近づき、でもなかなか縮まらないもどかしさがあった。二人がここで恋に落ちても、手と手を取り合って駆け落ちということにはならなかった。この滞在中の短い期間だけという期間限定であるため、お互いに家庭があったこともあり、お互いの気持ちをセイブしていた。「期間限定」的な価値が東京という場所で高まっているいるからこそ、二人の恋物語は、アメリカに帰国しても続くことはないのである。

 最後のシーンで、ボブが西新宿のヨドバシカメラの周辺で、一人で歩いているシャーロットを見つけて、街の雑踏の中でお別れのキスをする。人々がたくさんいて、外国人二人がキスをしたら絶対目立つはずだが、西新宿の雑踏はその二人の存在をかき消しているようであった。このラストシーンによって、西新宿という無国籍な無法地帯における孤独感によって引き起こした刹那的な恋を描いていると思う。

 ちょっと話は反れるけど、占星術研究家の松村潔氏の著書『運命を導く 東京星図』という本がある。東京23区を占星術の12星座当てはめて解読しているのである。それによると、新宿・大久保・中野は水瓶座エリアになるのである。国籍、性別、年齢差、時代性などをすべて超えたところで、他人と意思疎通しようとする、というのが水瓶座の特徴にはあるのである。無国籍な雰囲気を持った自由な場所、それはまさしく新宿にドンピシャな場所だろう。
 この本の水瓶座の部分を読んで、『ロスト・イン・トランスレーション』は、パークハイヤットホテル、つまり西新宿でしかなかったということが、裏付けされたと思った。

 この映画には、もちろん代官山や中目黒など他のロケ地もあるが、ワタシがこの映画にこだわっているのは、西新宿にこだわっているから。ワタシも西新宿で同じような経験があるからだ。それは魚座のワタシには、長続きしない場所と状況だってことがわかったので、西新宿にこだわるのは終わりにしようと思った。

 アメリカ人や他の外国人は、『ロスト・イン・トランスレーション』をどういう印象を持ったかわからないが、ワタシには、この映画によって、ターニングポイントになった映画になったと思う。



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